おしゃれに生きた人

毎日彼女は 土手の花たちに
米のとぎ汁 まいてたよ
白髪頭に 粉のようなおしろい
真っ赤な口紅

「私には学問があります」と
きっぱりと言いきって
年寄りの集まり絶対行かず
大学通い続けた

家にまねかれて 
甘酒 桜餅 でんがく味噌
お汁粉 草餅
甘い物大嫌いだったけど
がまんして食べた
「私の宝 ごらんください」
手作りの着物着せられ
並んだ古い人形
髪の毛 全部 黒の木綿糸

歩けなくなって 入院しても
ベッドで本を読み続け
お見舞いに白い百合の花束
病院に電話した
「昨日 お亡くなりになりました」
信じられない一言
本と人形と写真の隣に
白い百合を飾る

たった一人で
人生をおしゃれに生きた人・・・

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